Posted by on 9月 16, 2016 in etc., stri-ep

stri-ep house では物件ごとに「耐震基準適合証明書」の取得を目指しています。
扱う物件が築30〜40年くらいの物件が中心になりますから現行の耐震基準を満たしていない物件も存在します。ここ数年の震災にたいする安全対策への関心の高さ(建物にたいする不安の解消と言った方がいいですね)の為ともう一つ大きな理由として「住宅ローン減税」の税控除を最大限活用するためです。住宅ローンの借入残高の1%を最大で10年間「所得税」から減税されるわけですからかなり大きな金額になります。適応の条件は購入から居住のタイミングや個人の年収、建物の規模など様々ありますが、まあ普通の方が普通の買い方をするぶんにはほぼ適応されます。問題は対象物件のその建物が建築された日から取得する日までが20年以下(マンションなどの耐火建築物は25年)ということ。これでは中古物件で築20年を超える物件は適応外なので、それらをカバーする適応条件として「地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術基準またはこれに準ずるものに適合する建物」とありその証明として「耐震基準適合証明書」もしくは「住宅性能評価書」などの証明書が必要になります。要するに減税措置を受けるためにはどんな物件でも良いわけではなく耐震性や耐久性に一定の性能が認められるものに限るというわけです。以前はこの証明書を物件の「売主」が取得していなければ「買主」の減税措置は適応されないというなんとも現実味に欠ける制度でしたが、現在では「買主」が物件取得後に耐震診断〜(必要があれば耐震補強をし)適合証明書を取得すれば適応されるようになりましたのでそのような状況下にある方は是非やることをお勧めします。ただし、物件によってはローン減税で控除される金額より耐震補強工事にかかる金額が高くなってしまう場合もありますから見極めが大事ですね。もっとも、金額云々より安心安全が優先される場合もありますからそれぞれのご判断にもよります。
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さて、2013年の「秋谷2丁目」は築40年の軽量鉄骨造いわゆる工業化プレハブ住宅でした。メーカーであるセキスイハウスさんへ耐震診断を依頼。耐震補強工事が主な目的でなく、「耐震基準適合証明書」の取得が主な目的である主旨を伝えると大手メーカーさんはまず固まります(笑)
このような問い合わせははまずカスタマーセンターへ電話することになりますが、オペレーターさんはまず内容が理解できない方が多いです。なぜなら築40年の自社製品を耐震補強(耐震診断)なんてしてまで住もうと思う人がいないからです。いわゆる”レアケース”。普通は壊しちゃうんです。まだ住めるのに・・・汚いとか古いとか売れないとかで壊しちゃった方が話が前に進むからです。国の政策も一昨年くらいまでは新築一辺倒でしたから。そんな事情でセキスイハウスさんの各部署をたらい廻しにされながら少しづつ証明書の取得に向け前進します。
ようやく話の主旨を共有いただき、社内資料(なんせ40年前の紙ベースの社内資料です)の検証、現地調査の段取りなどにこぎつけました。セキスイハウスさん、なんと40年前の設計が現行の耐震基準を満たしており、現地での調査(建物の傾きや基礎や構造の状態などを機器や目視で確認)後、建築当時の性能を有すると判断いただき(耐震等級は1です)耐震補強せずに適合証明書を取得できました。このことは想像していなかったので嬉しいことでした。コスト面ももちろんですがstri-ep house の材料となるこの時代の工業化住宅が今の時代にも通用する一つの材料を持っているという証だったからです。磨けば玉とはまさにこのことです。この物件に少し背中を押してもらった気がしました。現在進行中の「秋谷1丁目」は同じく工業化プレハブ住宅ですがメーカーは「ダイワハウス」ですがセキスイハウスでは想像もしなかったことが次々と起こります。私から繰り出される依頼や言葉がのすべてがハウスメーカーにとってはレアケースでこの件に関わる全ての人や物事がぎこちなくまるで欠けた歯車を回すようでした。
少し長くなりましたのでこの話は次回木造住宅「下山口」の後にお話します。

kamo